2013年 International Interior Design Association が初めてアジア圏を対象にしたデザインコンペティションを開催し、受賞者でインテリアデザイナーのDesign Eightを主宰される藤井信介氏をお迎えして受賞記念セミナーを開催しました。六本木ミッドタウンのデザインハブの会場では、藤井氏自らが丁寧にひとつひとつの作品に対する思いを語られ、大勢の参加者を魅了しました。空気感、これが藤井デザインの要。Design Eightのスタッフの方から聴衆に配られた８の字のクッキーの小袋が、初端から会場をホッとする空気に変えました。

今回の受賞作品である「萩原精肉店」のインテリアに加えて、それまでのデザインの礎となった同じく精肉店「中勢以」、マンズワイン小諸ワイナリーセラー、鮨 与志乃 等、数々の趣のある作品のデザインプロセス、最も大切と思うデザインの原則など、沢山のスケッチや写真と共に説明をして頂きました。施主とのコミュニケーションは、殆どが自らの手描きスケッチにて行われるとのこと、隅々まで藤井氏のデザインの思いが語れていました。それぞれの作品に厳選された内装材、或は、光は、藤井氏の一貫した「空間が主張するのではなく、引き立たせるべきものが引き立つ」というデザイン姿勢を全うしていると感じました。

また最後には、今回学生の参加者も多く、インテリアデザイナーという職能において、施主から予算を預りデザインをする、ということの有り難さを忘れずに一生懸命に何ができるかを考えて欲しい、と後輩へのメッセージも頂き、藤井氏が自らの作品に留まらず、インテリアデザインへの深い思いを垣間みさせて頂きました。

参加者の一人一人がとても貴重な時間を共有することができ、藤井信介さんに大きな拍手が送られました。

 

戸室令子

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