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会員の視察・旅行記

吉田亜希子のUSA JOURNAL 2015年5月号(2015.5.1)

ここバージニアにも本格的に春がやってきました。冬の間にすっかり枯れてしまった木々が、暖かくなるにつれ少しずつ芽を出し、葉を増やし、森が色づいていく変化が、本当に毎日手に取るように感じられます。また新緑だけでなく花木の花も鮮やかな季節。4月上旬には有名なワシントンDCの桜が満開となり、中旬になると爽やかな白い花を沢山付けるBradford Pear(日本名マメナシ)の花が街のあちこちで咲き始め、そして今は車道に沿って植えられたRed Bud(日本名ハナズオウ)の木が鮮やかなピンクの花で私達の目を楽しませてくれています。

そんな中、暖かくなって動き出したのは木々だけではありません(笑)。2年しかない私達のアメリカ駐在。この機会に是非!と言う事で、この春から続々と親族や友人が日本から遊びに来てくれています。という訳で、今回は一緒に観光をしたり、案内をしたワシントンDCを、いくつかの見どころを交えてご紹介したいと思います。

アメリカ、と言って誰もが想像するイメージと言ったらNYやロサンゼルスの様な高層ビルが立ち並ぶ大都会のイメージでは無いでしょうか?でもここワシントンD.C.は、都会の煩雑さを一切感じさせない街。白亜の建築物が整然と並ぶ様子は、どこかヨーロッパの街並みの様です。調べてみるとそれもそのはず、ワシントン市の都市計画を最初に行ったのはフランス人。フランスから従軍技師としてアメリカ植民地に渡った建築家ランファンが、バロック様式を元にDCの都市計画を作成したのだそうです。またアメリカ独立宣言の創案者である第3代大統領トーマス・ジェファーソンも、DCについて「低層で便利な建物と、明るく風通しのよい街路を備えた、アメリカのパリにしたい」と願ったのだとか。そして今も正にその景観はそのまま引継がれ、低層に広がる美しい建築物に青空が広く映える様子は、大都会のNYとはまた全く違うアメリカを感じることが出来ます。

そんなDCの中心にそびえ立つのが、ワシントンモニュメント。初代大統領ジョージ・ワシントンの功績を称えて建造された記念碑です。169メートルもの高さがある石柱のオベリスクは、前述の通り低層に広がるワシントン市のどこからでも見ることが出来、空に向かってそびえ立つ姿はどこか厳かな雰囲気も感じさせます。建設に使われた大理石・花崗岩・砂岩などの石約3万6千個の石の中には、ペリーが帰国の際、日本から贈られた花崗岩も含まれているのだとか。

そしてこのワシントンモニュメントを中心として、西端のリンカーンメモリアルから東端のキャピトル(連邦議会議事堂)まで約2キロ、まっすぐ東西にのびる一帯がナショナルモールと呼ばれる国立公園地帯です。この一帯には複数のスミソニアン博物館群、多くの官公庁施設、アメリカの歴史を物語る複数の記念碑、記念館が数多くあり、美しく整備されたその景観と共にアメリカの歴史や文化を知ることが出来ます。

東端に位置するキャピトルはアメリカの連邦議会議事堂。中央部分のドームを中心として南側が下院、北側が上院の棟となっています。特徴的な中央のドーム部分は残念ながら現在改修中。2016年11月の次期大統領就任演説に間に合わせたいと改修を急いでいるとの話ですが、現在のところ完成見通しは2017年1月頃とか。 このキャピトルは予約制で内部の見学ツアーがあり、アメリカの歴史を描いた数多くの絵画や、ドームの天井内部に描かれた美しいフレスコ画を見ることが出来る…そうなのですが、いつもタイミングが悪くまだツアーには参加したことが無い私。今後も親族友人のガイドはまだまだ続く予定ですので(笑)、近いうちに是非見学してまたご報告できたらと思っています。

そして西端に位置するリンカーンメモリアル。奴隷解放宣言を行った第16代大統領エイブラハム・リンカーンの記念堂です。ギリシャのドーリア式で作られたこの建築物は、リンカーン大統領就任時の州数である36の円柱で囲まれています。内部には縦横5.8メートルのリンカーン大統領の坐像が設置されており、記念堂に近づくにつれ円柱の間から見える大理石の坐像はとても荘厳で圧巻です。また、その建築物の内部壁にはリンカーンの代表的な2つの演説内容が彫られています。北側の壁には第2期就任演説の内容、そして南側には有名なゲティスバーグ演説(人民の人民による人民のための政治、という有名な言葉を語った演説)が。またこの記念館はマーティン・ルーサー・キングによる「I Have A Dream」の演説が行われた場所としても有名で、記念堂前の階段には印がついているタイルがあり、そこがキング牧師が立って演説した場所であることを表しています。

お恥ずかしながら日本にいた時は、あまりアメリカの歴史についても良く知らなかった私ですが、やはりこうやって何度もDCに足を運ぶうち、その歴史や背景について色々知りたいと思うようになりました。また、これも何も知らなかった私にとって、とてもショッキングなことでしたが、連日の様に今もテレビから流れる人種差別に関するニュースの数々。この現代においてもまだ根強く残るその差別の背景には、植民地時代からの奴隷制度であったり、解放運動であったりというアメリカの歴史が深く関係しており、またそれに対して尽力した人々がアメリカで如何に尊敬され、称えられているかという事がDCの街からも強く感じ取れます。

今回は超有名どころの歴史的建造物を少しだけのご紹介になってしましたが、DCには前述の通り、魅力的な博物館、美術館も沢山。次回はその辺りも含め、引き続きワシントンDCについてご紹介をしたいと思っています。

 

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