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活動報告

IIDA インテリアショップ・ショールーム&建築見学会
IDÉAL Bldg. (建築設計: 中村拓志氏/ NAP 建築設計事務所)
IDÉAL TOKYO , TOM DIXON TOKYO , minotticucine & 能舞台(2024.3.6)

2023年12月15日に南青山に昨年5月にオープンした複合施設「IDÉALビル」の見学会が実施されました。今回はビルのオーナーでもあるIDÉAL TOKYO代表の分林実芳子さんのご好意で、通常は一般非公開の能舞台も見学させていただきました。

南青山に2023年の5月にオープンした文化発信拠点を目指す複合施設「IDÉALビル」は、地下1階~地上3階の商業エリアと上層階の住居スペースで構成されています。樹齢約300年の大きなオリーブの木が見下ろす広場があるこのビルの設計は、中村拓志氏(NAP建築設計事務所)。

シャープでモダンな印象の建物の全体像とは別に、ビルのオーナーである分林家と深い関わりがある観世水の文様がエントランスの壁面やガラス窓に用いられているのが印象的です。美しいディテールや上質なマテリアルなどが細部に見られます。

樹齢300年のオリーブの木

木のセレクトはプラントハンターとして有名な西畠清順氏。見上げるばかりに大きいこの木についてこう紹介されています。
『「平和と繁栄」の象徴として国連やユニセフのシンボルにもなっているオリーブは、常緑で長生き、何より縁起の良い木です。この施設のシンボルツリーとして「オリーブの木を植えたい」ということで実際に分林さんが弊社の大阪農場に来られ、一緒に選んだ特殊な一本。さらにはその行為そのものに価値があったと思っています。』

エントランスホール/左官仕上げの壁

手掛けたのは、世界的に活躍する挾土秀平氏。品のある紫色ベースの流水紋様がレリーフのように立体的に浮かび上がります。挾土氏のコメントをご紹介します。
『プライベートの能楽堂を持つこのビルの、エントランス壁面のモチーフとして選ばれたのは「観世水」だった。観世流の観世太夫や尾形光琳が用いたという優美でモダンな流水文様である。土壁をベースに、私はフリーハンドで描いた観世水を立体的なレリーフにし、さらに紫と銀の色彩で水の輪郭を重ねた。現代の工業製品では出せない有機的なラインとテクスチャーを持つ、手仕事らしさのある工芸的な壁が来場者を迎えることになった。さらに1階のビストロでは、シェフの舞台である調理スペースとカウンター席の間の垂れ壁を制作。豊穣のモチーフであり、フレンチに欠かせないワインの材料である葡萄を配している。R面を連続していく葡萄のレリーフを、アシンメトリーで余白を活かした和の構図としているのは、日本の食材や技術を活かしフレンチと融合させているシェフへのリスペクトである。』

エントランスホール/アート作品

エレベーター前の空間に飾られたオブジェはファッションデザイナーのコシノジュンコ氏が分林さんのために制作したオリジナル。タイトルは「山水」。床の間にかけられた掛け軸、山水は山から流れる水の波紋、徐々に変化する鉄の錆が表現されています。

能舞台(プライベートスペースのため一般非公開)

通常一般非公開の能舞台を今回特別に見せていただきました。また、分林さん自らこの建物の設計由来や設計者とのやりとりの内容など、数々の秘話をご披露いただきました。
能舞台があるフロアのエレベーターのドアが開くと、目の前に尾形光琳「紅白梅図屏風」をモチーフとした石庭が現れます。石製の川の両岸に紅白の梅が植えられ、一気にその世界観に引き込まれます。左手のドアを開けるとそこには屋根を頂く総檜造りの能舞台。個人邸の、ましてや商業ビルの中に入っているとは思えない圧巻の造りです。能舞台の周りのエリアの壁は繊細なリブ仕立ての壁。見所(観客席)には造り付けのベンチのほか、スタッキング可能な高さ違いの椅子も用意されています。また、白州にあたるその床には京都の修学院離宮の隣雲亭に見られる「一二三石」をモチーフにしたオリジナルカーペットが敷き詰められています。ベンチの後ろ、松の鏡板と相対するように配されたガラス窓の向こうには、寿の字に似た老黒松と磐座の庭があります。

IDÉALビル、能舞台レポート:細井絵理子

 

IDÉAL TOKYO/3F

IDEAI TOKYOは、分林実芳子氏がセレクトしたヴィンテージ家具やアートと小泉裕氏がセレクトした最先端のAV機器が揃うオーディオ&ホームシアターなどを見せてもらいました。
上質なインテリア空間に音や映像が加わり、その特別な世界観に魅了されました。
3Fのショップ内の窓ガラスや間仕切りにはオリジナルデザインで作ったガラスが採用され、自然光をより美しく取り入れていてそこに居るだけで気持ちの良い空間でした。

一面がガラス張りの完全防音のシアタールームが設置されていますが、音響と映像が身体を包み込むイメージで、もし自宅のリビングルームの一角に設置できたら毎日、非日常な空間でリセットでき、新しい自分になれそうな…是非お客様に提案していきたい空間です。
シアタールームの壁は木リブでしたが、全くわからないように全面が収納扉になっておりました。また、木リブのピッチを変えてより映像を際立たせる視覚効果とスクリーンを落とす溝まで計算された美しいデザインに興味津々でした。
北欧ビンテージ家具と映像と音、自然光がいっぱいの空間を満喫して、皆熱心に質問などしていただき時間がより長く感じられました。
今回参加できなかった方にも、最先端の音環境とインテリアの融合を是非体験して頂きたいです。

TOM DIXON TOKYO/1F

世界的なデザイナーTOM DIXON氏のショップ&カフェ「TOM DIXON TOKYO」 は、店内は、スタイリッシュで有機的なデザインの照明から暖かな雰囲気が漂い、人々にリラックスさせる効果があるように感じました。
カフェ併設なのも嬉しいです。
照明だけでなく、家具やインテリアアクセサリーなど、幅広いアイテムが見られるショップです。
カタログだけではわからない照明の細かいデザインや大きさなど体感しました。 施設に使うような大きな器具の展示もあり、見応え十分でした。
今回のセミナーの最後に見せていただいたこともあり、外に出たら夜の雰囲気。外からの見るTOM DIXON TOKYO も華やかで素敵ですが、IDÉALビル全体が美しい光りの建築となっていたのも印象的でした。

IDÉAL TOKYO、TOM DIXON TOKYOレポート:原口恭子

 

minotticucine(ミノッティクチーネ)/1F

minotticucine(ミノッティクチーネ)は、イタリアベローナ地区に本社を持つ1949年創業のシステムキッチンメーカーで、天然石や天然木の美しさを生かしたミニマルで高性能なキッチンが特徴です。ショールームには、キッチンの長さを強調し、視点を長くするための溝の水平線が特徴な「GANDHARA」、日本の障子をモチーフとして取り入れた「HANAMI」、地球の計り知れない価値を厳密な幾何学模様と石や木などの天然素材で表現した「TERRA」の3つのキッチンが展示されており、美しい造形と計算された機能性を実際に触れながら体感することができました。

minotticucineレポート:藁谷美紀

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