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活動報告

IIDA 10月月例会報告「鹿沼・組子見学会」(2013.12.1)

秋晴れの10月30日水曜日。10月の月例会として、少し遠出をして、栃木県鹿沼市の伝統技術、組子の見学会が行われました。2010年に続いて2度目の鹿沼市訪問になります。

IIDAのメインテーマの一つ、「NIPPON DESIGN」の活動の一環です。新宿と池袋から、JR特急日光1号にのって9時過ぎに新鹿沼駅着。

「木のふるさと伝統工芸館」

鹿沼市の伝統工芸を紹介する展示館です。今年7月、OZONEでのIIDAの30周年展示で、組子の展示を見てはいましたが、改めて、素晴らしい技術を目の当たりにして、うっとり。技術の繊細なことに感動しました。

加えて、同館に展示されている鹿沼ぶっつけ秋祭りの彫刻屋台の豪華さにびっくり。
日光東照宮の匠の伝統を、目の前で見ることができます。

毎年10月の秋祭りでは多数の彫刻屋台が町を練り歩きます。
道路の交差点で、3~5台の屋台が向かい合って行うお囃子の競演を「ぶっつけ」と呼ぶそうです。

野州麻紙工房

町の中心から車で30分ほど。日本でも数少ない麻糸の生産農家を訪問。麻について、今まで知らなかったことをいろいろ教えていただきました。麻について深いお話しをしてくださった、日本麻振興会、大森由久氏。

日ごろは麻というと、織物としてしか馴染みがありませんでした。横綱土俵入りの際の白い横綱は麻、お盆の送り火を焚くおがらは、表面の繊維を取った後の麻の茎だということをご存知でしたか。

 

耕した土地でなくても、種を一掴み蒔けば、3か月で2~3mに成長する麻。
縄文時代から、日本人の生活に密接に結びついていたそうです。

刈り取った麻を乾燥させ、何度も水にくぐらせムロで発酵させます。
黄色く変色した麻の表皮を、手作業でスルスルとはがしていきます。

むいた皮を薄く延ばして乾燥させ、繊維に仕上げていきます。乾燥すると美しい白色になります。

Caféぎゃらりー納屋

大森氏の息子さん夫妻は、麻紙(まし)のギャラリーとカフェを経営されています。
建物はほとんどお二人の手づくり。建築資材は、取り壊された古い民家から譲りうけたものを再利用しています。

屋根は麻の茎。中に入ると、壁紙は麻紙。 床には味わいの深い石材。
シェードに麻紙を使ったペンダントが柔らかい雰囲気です。

大森ジュニアご夫妻。

日本の麻についての情報は
http://uruoinosato.sub.jp/index.php?%E9%BA%BB%E5%B7%A5%E6%88%BF

鹿沼名物にらそばの昼食です。

おいしいそばと、柔らかくしゃっきりしたニラが、思いがけずとてもおいしかったです。

(有)豊田木工所

(有)豊田木工所に到着。

OZONEの展示でお世話になった(有)豊田木工所の豊田皓平氏が、店舗と工場を案内してくださいました。
豊田氏は伝統的な組子の作品以外に、従来にないデザインの作品を製作しておられます。

すべてのピースの角度が違います。

整理箱 組み合わせ自由

手前は漆をかけたパフュームケース。蓋に磁石がしこんであります。

工場と店舗にたくさんの美しい試作品が並べてあります。 一片一片が見事な細工でくみ上げられています。

(有)吉原木芸

こちらは組子のくみ上げ専門の作業所です。代表、吉原幸二氏。

吉原木芸の後継者、吉原秀美氏が、集中して製作中。

工場のアイドル、金太郎くん。段ボールには木くずが詰まっていて、お気に入りのベッドになっています。

組子体験にトライ! 一柄を何分で組めるかな? 小学3年生は10分。私たちは・・?

できました!

IIDAメンバーの右奥が吉原木芸の吉原秀美氏。手前が(株)アルエの高瀬氏。

(株)アルエ

最後に、一日中、運転してくださった(株)アルエ 高瀬一男氏の工場にお邪魔しました。
建具の町、鹿沼で、大きな工場を経営されています。建具業界のやや古い体質の話、住宅メーカーと組んでのビジネス創出、新しい試みの、フラットな神棚の話など伺ううちに、あっという間に電車の時間になりました。

薄型の神棚。神棚には形の決まりはないそうです。

工場で高瀬社長に襖の部材の説明を伺っています。

豊田氏、高瀬氏はじめ鹿沼の皆様のおかげで、何とも充実した1日でした。
お忙しい中、皆様、ありがとうございました。

来年の、ぶっつけ秋祭りの時期に、また行きたいですね。

塩田英子

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