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活動報告

初夏の京都を行くWA・A Design Project視察ツアー
1泊2日で行く京都・芦屋の旅「ザ・リッツ・カールトン京都」(2014.8.1)

真夏のように暑かった京都の6月。16日の夜と17日の朝の2回、今年2月にオープンしたホテル「ザ・リッツ・カールトン京都」を訪ねました。

16日 ホテル/エントランス ラウンジ レストラン「La Locanda」

初日はIIDAメンバーによる夕食会。退蔵院や青蓮院門跡の見学を終え、祇園まで歩きヘトヘトになって冷たい麦製発泡飲料(!)やアイスコーヒーで喉を潤した後ホテルへ。

日が沈み始める中、アプローチには足元を照らす照明が灯り、水の流れと共に静かに訪問者を迎える演出が。印象的なのはその“こぢんまり感”。扉や通路がプライバシーに配慮したデザインになっており、また「いったい中はどうなっているのだろう?」という期待感を持たせます。

扉が開くとコンパクトなコンシェルジュデスクがあり、右手に長い通路が伸びています。壁面にはなまこ壁風のデザインが施され、まるで京都の美しい路地に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。

もうひとつの扉が開くとそこには美しい格子が連なるラウンジや吹抜けの階段室が目に飛び込んできます。縦、横、麻の葉など様々な形の格子や組子細工がパネルや照明、家具デザインに組み込まれ、日本の伝統美をストレートに表現。これらが生み出す光と陰が幾層にも重なり合って見る者の心に響きます。

夕食会はホテル内にあるイタリアン・レストラン「La Locanda」で行われました。円柱形のワインセラーと大きなカーブを描くバーカウンターを抜けるとテーブル席があり、ガラス張りの中庭の先には移築された「旧夷川邸」の広間があります。

まずこのレストランで注目すべきは天井のデザインでしょう。大きな弧が重なりリズムを生むバーコーナーの天井をはじめ、縦ラインを強調したダイニングの天井などダイナミックにシーン毎に変化を加えています。床にはモザイクタイルをアクセントにダークカラーでまとめ、大人が楽しめる上質な空間に。

そして、なんといってもこのレストランのデザインで語らずにはいられないのは、洋の空間の中に強い存在感を放つ日本建築、旧夷川邸です。このホテルがあった場所には以前、藤田観光の「ホテルフジタ京都」があり、その会長の別邸だった旧夷川邸がレストラン内に移築されているのです。屋根の一部まできちんと保存、移築され、一瞬、ホテル内にいることを忘れてしまいます。

美しい金彩の雲が浮かぶ襖や格式ある書院。伝統的な和室の中にガラスのペンダントやダイニングセットを配し、美しい個室として凛とした姿を見せています。ライティングも工夫され、この旧夷川邸が洋の東西を問わず空間の中に異質なものとして浮き上がることなく、光の濃淡の中美しいアクセントとして存在しています。

お料理もまた、日本の旬の食材を活かしたメニューで楽しむことが出来ました。デザートはピエール•エルメというのもスイーツ好きには堪らない組み合わせですね。

17日 ホテル/客室 エレベーターホール 廊下

さて、ホテルの客室見学をさせて頂く二日目は、日本襖振興会の方々も加わり、午前中に始まりました。
スタンダードのお部屋2タイプとコーナースイートを一室。そしてオープン前のレストランを案内して頂きました。
客室は日本の伝統美を現代的な機能性と掛け合わせ、モダンにそして美しくアレンジされたものでした。
七宝柄を様々な形で取り入れ、さりげなく表現したり、桜の花を立体的に表現した薄紅色のオリジナルタイルを使った浴室など心憎い演出が幾つもあります。
聞くところによると、施工した職人さんたちは普段住宅を手掛けている方達だったとか。成る程、天井や廻り縁の細かな仕上がりが確かに丁寧で違いました。こういうところにも日本の技や伝統が生きているのを感じます。
鴨川に面した側に客室を設け、外からも内からも京都の町に溶け込むよう配慮されたデザイン、設計になっています。窓辺に小さな盆栽を配し、水の流れと空を眺める客室は滞在客の心を洗ってくれることでしょう。
エレベーターやホールにも日本の美を感じさせるアートやデザインが施され、日本人であることの誇りや喜びを改めて感じさせてくれるホテルでした。

ホテル見学・取材協力:ザ・リッツ・カールトン京都

text & photographs 細井絵理子

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