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活動報告

IIDA 11月月例会「庭のホテル見学」レポート (2016.12.1)

水道橋駅から徒歩5分。
目的地に向かって歩いていくとビルの合間から木々の見え隠れするビルがそばに近づくにつれ、気持ちが癒されていく。エントランスのアプローチに自然と誘い込まれる不思議な感覚を味わった。それが「庭のホテル東京」最初の印象だ。


エントランスは季節を感じられるディスプレイ

和服でご登壇されたホテル総支配人、木下彩社長ご本人からお話をお伺いできました。
ここ「庭のホテル東京」は、2009年に竣工。
お母さまから引き継ぐまでの、旅館→ビジネスホテル→現ホテルという歴史があり、リニューアルにあたってのコンセプト作りには5~6年をかけたという。
現社長は、建物自体の老朽や宿泊客の減少などいろいろな直面する経緯を経ながら、インターネットの普及でホテルを容易に比較される時代を迎え、価格だけで選ばれ勝負するホテルにしたくないという想いが強くあった。
日本人→海外の宿泊客を獲得する為に日本旅館時代の歴史やノウハウが強みになると考えた。また、水道橋から文化を発信する場としたいという想いもあった。
高い安いという金とは別の価値で選ばれたい、どう新しい庭のホテルを創っていくべきか考えた末、社長である自分自身が「使いたい」と思えるホテルを創ること、と目指す道が見えてきた。


江戸の粋のしつらえ

2009年5月「庭のホテル東京」で開業。
ホテルのコンセプトは「モダンな和・美しいモダンな空間」。
華美な非日常でなく、日常生活の延長ながら憧れられる上質な「日常」であるようにと、江戸の粋(粋な和=東京雅な和=京都)を取り入れ、普段使いのホテル・ちょっと行きたい、ちょっと美味しいものを食べたい、というときに行きやすい・使いやすい、「くつろげるもう一つの我が家」のような空間。絶妙なバランスを叶えたホテルとなっている。


客室壁などのしつらえ

客室、モダンな和・美しいモダンな空間。くつろげる、もうひとつの我が家のようなしつらえ、非日常でなく日常生活の延長ながらの上質な日常

雑踏なエリアというイメージがある水道橋の街なかにある都会のオアシス。木々があることで都会の中でホッとくつろげ、庭というホテル名のごとく、都会の中のお庭のようになればという想いだという。サービスも粋(くどく無く心地よいサービス)であるこ とを大切にしている。
ホテルの設計には昔からの付き合いだった、石井建築事務所でコンセプト作りから一緒につくっていった。
そして、ホテルのポイントである庭のデザインは山田茂雄造園事務所に。敷地の入口からお庭に入っていくかのような設計と、コンセプトをお話して後はお任せだったという。
建物が免震構造になっている。
印象的なところは、エレベーターを囲む壁が障子になっていて、和のイメージを醸し出していた。


エレベーター、エントランスホール

お客様は外国人が多く、その中でも欧米人が50パーセント以上と半数を占め、アジア人は30パーセントだという。2015年のトリップアドバイザー「外国人に人気のホテル と旅館」ランキングで18位にランクインし、雑誌「Pen」「東洋経済」での日本の人気ホテルに関する特集においても有名外資系ホテルに混ざり上位にランキングされ た。また興味深いことに、23区内在住の方が宿泊しに来ることが多いのもこのホテルの特色だという。


ちょっと行きたい・ちょっと美味しい物を食べに行きたいと思わせるレストラン

万人受けであったり、いかにも外国人受けするホテルを目指さなくとも、ホテルの価値を分かってもらい、「庭のホテルに泊まろう」と思ってくれるファンを増やしていければ、という木下社長の想いが届いていることは、宿泊客からの高い評価が証明しているといえるだろう。

レポート: 室賀、古澤

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