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活動報告

IIDA Japan Chapter主催「オランダ+フランダース デザイン勉強会 第2回 ファッション編」レポート
(2017.12.1)

11月28日、(株)テシード東京ショールームにて、「オランダ+フランダースデザイン勉強会 第2回ファッション編」が開催されました。

2017〜2018年 IIDA Japan Chapter 主催「オランダ+フランダース デザイン勉強会」発足

オランダで『デ・スティル(De Stijl』が創刊されてから100周年を迎え(現在は廃刊)、 オランダ国内はもちろんのこと、各地で「デ・スティル」や「ダッチ・デザイン」に関するイベントが開催されています。 そこでIIDA Japan Chapterでは、 2017〜2018年、約1年かけて「コンセプト」が明快なことで世界的にも知られる オランダ+フランダース地方の建築やインテリア、ファッションなどのデザインを総合的に学ぶ勉強会を発足ました。

第2回テーマは、アントワープ発「ファッション」

ベルギーのフランダース地域にあるアントウェルペン(アントワープ)がファッションで有名なのをご存知でしょうか。アントウェルペンにある「アントウェルペン王立芸術学院」を卒業したデザイナーが世界で多数活躍されています。 その卒業生で1980年代に「アントワープシックス」と呼ばれ、ファッションの世界でアントワープの名を世に広めることとなった6人のデザイナーと、同じくベルギー出身のマルタン・マルジェラ。彼らが如何に登場し、如何に業界に影響を与えることになったのか。今回そんなアントワープ発の「ファッション」をテーマに、百貨店でファッション・コーディネーターとして長年ご活躍されている、細井まさこデザイン事務所の細井まさこ氏を講師にお迎えしお話いただきました。

細井まさこさんは30年以上にわたり、レディースファッションを中心に、パリ・ミラノ・ロンドン・ニューヨークなど海外のデザイナーズコレクションへ訪問。近年は特にパリ・ミラノには毎年必ず足を運ばれ、トレンド分析を行っています。大丸百貨店のファッションコーディネーターとしてMDディレクション、最近ではGINZA SIXの開発企画にも携わり、また企業へのトレンドセミナーの講師として日々ご活躍されています。ファッション好きも多いIIDAで、アントワープという括りはありましたが、刺激的なファッションの話をお伺いできる貴重な機会となりました。

「アントワープシックス」

Doris Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)
Ann Demeulemeester(アン・ドゥムルメステール)
Marina Yee(マリナ・イー)
Walter Van Beirendonck(ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク)
Dirk Van Saene(ダーク・ヴァン・セーヌ)
Dirk Bikkembergs(ダーク・ビッケンバーグ)

Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)

「アントウェルペン王立芸術学院」

1980年代初めに同時期に卒業しその後注目を浴びることになった彼らですが、そのデザインに共通はなくとも、それぞれが第一に「コンセプト」が大前提としてあり、そこを出発点としてモノそのものをデザインをしていくということを学び実践していました。そのやり方は当時新しく、アントウェルペン王立芸術学院の名を広めると共に、日本を含め、ファッションの教育現場や仕事の仕方に大きな影響を与えるものだったといいます。

デザインにおける「アントワープ感」とは、それは「パリっぽくはできない」ということであるといいます。フランスやイギリスに比べ特徴がなく、印象が弱いという劣等感や反発心があり、どうパリにアタックしていくか試行錯誤する必要から、何を強みとするかと考える思考法が「コンセプト」を第一とする教育現場にあり、それがデザイナーたちの特徴的な部分となったということです。作品もキラキラとファンタジーめいたものではなく、シュルレアリスムや超現実主義といったものがアントワープシックスの作品や、特にマルタンマルジェラのショーのスタイルにも現れました。これまでにない表現が業界にとって衝撃を与え、ファッションのあり方に疑問を提示するきっかけになったといいます。

細井さんはアントワープシックスの6人に影響を与えた日本人デザイナーについてもお話下さりましたがこちらもとても興味深かったです。今回知ることができたデザイナーのブランドの店舗へは是非足を運んでみたいと思います。そしてベルギーの現地でまたリアルな「アントワープ感」を感じられたらと思います。

最後に、レディースウェアは昨今世界的に売れていないとのお話がありました。ユニクロや無印良品をはじめとする大規模に展開するブランドが世界的に支持される一方で、今回のようにデザイナーたちのクリエーション力、知力、ヒトの表情が見えてくるコンセプチュアルなブランド作りや提案もますます大切になってくると。誰のものにもなるデザインが良しとされる一方で自身を表現するためのデザインを探すことの楽しさや大切さを持っていたいと感じさせられました。また、デザイナーはそう思わす使命があるだろうとも感じました。

レポート:古澤 / 写真:原口、有城

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