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会員の視察・旅行記

【箱根 NCSC “ Ryokan” 取材旅行】武山豊子(2009年5月)

6月に控えた、アメリカ・シカゴで開催される「Neo Con World’s Trade Fair」CEUセミナー・プレゼンテーション “ Ryokan ” - Japanese Hospitality Design Now -  の取材旅行の為、プレジデントの細井さん、プロジェクトリーダー&プレゼンターのお一人である丹羽さんと共に、箱根を訪れました。4月頭、桜にはまだ少し早かったもののお天気にも恵まれ、‘初めての箱根’である私は、取材旅行とはいえ観光気分満載!! 
箱根の山の自然を楽しみ・・・、創業130年のクラシックホテル「富士屋ホテル」でランチと称し建築・インテリア見学・・・、「ガラスの森美術館」にてヴェネチアンガラスの美しい展示を見・・・、「ラリック美術館」では自然とうまく調和した建物とラリックの世界を堪能し・・・etc、細井さん・丹羽さんのさり気なく温かい“おもてなし”の心に触れた良い時間となりました。
それでは今回の旅の本題、“Ryokan”レポートです。現代旅館である、二つのお宿を訪ねました。

月の花 梟 あうる

宿泊したお宿。かけ流しの温泉と、おいしいものを出すことにこだわり、十分なサービスを提供できるのは8人までとし、敢えて客室は4部屋のみ、デザイン・空間の異なる設えとなっている。
リノベーションによるこのお宿。写真は最も豊な空間を持つ「香具夜」LD・和室・寝室・専用露天風呂を備える。
建築家との打ち合わせの中、様々なものを一度に見せず後から見えてくるような空間づくりをめざしたとの事。

梟好きの女将。月の前に梟が飛んだ時のシルエットが、月に咲いた花の様だと名づけられた「月の花梟」owl。
こだわりの‘湯’と‘食’の他に大切にしているのは、‘お客様との近い距離感’。オーナーと女将が自らお客様を出迎え、オーナーご自身が食を創る。‘顔が見える宿’を大切にされている。又来たい、と思わせるのは人と人との関係・人間性。写真右上のエントランスを入ってすぐの吹き抜け空間では、お客様と会話が生まれる場に。お客様の中には「ただいま~」といって再び訪れてくださるリピーターもいるそうです。

ギャラリーコーナーには、お宿のシンボル梟の他に、厨房の片腕を担う息子様のお好きなネイティブアメリカンの小物も個性をプラス。

女将のこだわり、暖かさはこんなところにも・・・。
出迎えていただき会話が弾んだ後、お部屋用に、様々な色柄の浴衣と帯をセレクトさせていただきました。これを着てうれしい気分で眠りにつきましたが・・・お部屋にも通常の浴衣が用意されていることに後から気がつきました。ひょっとして、浴衣は部屋着用だった・・・!? ご自由に・・・だと思いますが・・・。

右の巾着は、帰り際に女性客にプレゼントしているという、女将の手作り小物。あったかい~。

“重きは食事”と、食でもてなすことを一番大切にしているオーナーご自身が創るお料理の数々。
食してみると、そのこだわり、意気込みがひしひしと伝わる数々のメニュー。常に楽しんで、チャレンジし、アイディア満載であることが、お話からも伺えました。おなかいっぱいになりました~!!

お食事のサービスは、パブリックスペースのダイニングでも、お部屋でも、お好きな方を選ぶことが可能。できればダイニングの方が、サービスのタイミングを計れるが、押し付けはしないとの事。
食事を楽しみ、ゆっくり過ごすことを大切にされていました。

 

夜、あんなに食べたのに~
朝もとても充実したメニューをおいしくいただきました。

 

 

箱根 ・翠松園

箱根の深遠な森に抱かれた、箱根小涌谷にあり、かつて三井家の別荘として知られた、国登録有形文化財「翠松園」を敷地内に擁することに由来する『箱根・翠松園』。
大正時代に建てられた和風建築「翠松園」をメインダイニング、レストラン&バーとして中心に、それを取り囲むように4棟の新築からなる客室棟で構成されている。
「二期倶楽部」や「京王プラザホテル」の庭園なども手がけてきた、庭師 安諸定男氏による、エントランスに向かう傾斜を利用し配された土壁、計算された庭の設え。そして、それらと調和するシンプルな建物。自然と融合するとても気持ちのいい環境・空間でした。

コンセプトは“Ryokan”。ホテルのいいところと旅館のいいところを両方併せ持ったサービスを目指している。敢えてコンパクトに設えられたラウンジは、和のモチーフ「縦格子」を現代風にアレンジしたかに思われるデザインのパーティションで、コンシェルジュデスクとラウンジ、通路部分をうまく仕切りながら繋いでいる。
窓からは、敷地全体を眺め、自然との調和を楽しむコーナーがあり、ライブラリーコーナーもうまく設えられている。完全バトラーにより、客室でのチェックイン・チェックアウト。
「もてなし」のキーワードは、「料理」「温泉」「バトラー」を三本柱に、“お客様をきちんと見て対応する”。余計なことを言わない。引いたり押したり、つかず離れず、空気感を感じてもらいながら近いサービスを提供。

エレベーター内装には‘箔’が施され、モダンな家具や暖炉にナチュラルなチェア、チェストには時代箪笥。素材やデザインにこだわりながら、和と洋をうまく調和しデザインされた空間です。

外国からのお客様はと尋ねたところ、月に10件程あり、特に香港からのお客様が多いとのことでした。HPを通し、世界のエージェントサービスから、又、都内のホテルで一泊された後、コンシェルジュ間のやり取りの後、お越しになる場合もある。外国からのお客様は、楽しみ方をわかっている為、逆にうまく“Ryokan”を使われているということでした。

全23室のスイートルームは、全て異なる間取りとデザイン。客室面積は最小で53~55.5㎡、最大115㎡の、ゆとりある設えとなっている。
温泉掛け流しの露天風呂が全室に用意され、緑と風を感じるコテージ風の設え。
今回は、箱根現地宿泊後、朝のNCSCミニミーティング!?により、突然の電話依頼を決行。快くご対応いただき、(細井プレジデントの軽快な交渉により実現)1タイプの客室を見学させていただけました。露天風呂の豊かな空間など、他室タイプも是非空間体験してみたかったです・・・。
詳しくはHPでご覧ください。
客室以外の+αとして、フランス高級化粧品ブランドのシスレーによるトリートメントスパ施設があり、外からのエステだけのお客様もあるとのことでした。

サインデザインも和洋がうまく調和し、印象的。
客室名には、このプロジェクトに携わったメンバーの名前を当てているという。‘思い’と‘こだわり’が感じられ、印象的でした。人と顔を合わせず、ゆっくりと客室でくつろいでいただきたいというコンセプトが、設え・デザインにて表現。
バトラーとお客様間でのメッセージの伝達が、室内外でうまくやり取りできるよう、スイッチ機能で計画されていました。

今回、暖かいもてなしの心でご対応いただいたのは、副支配人の中様。
男女スタッフ平均年齢24~27才の中で、リーダーとして活躍する、素敵な女性でした。

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