会員のお仕事
Designer’s House / Designer’s Project
デザイナーの住まい・仕事 vol.7
ハワイの風薫る都会の家 F邸 第2回
IIDA Japan Chapterメンバーの住まいや手がけた物件を紹介するDesigner’s House/Designer’s Project。
第7回目は、都会にありながらハワイのコンドミニアムにいるような錯覚を覚える素敵なインテリアが魅力のF邸をご紹介します。
text & photographs: Eriko Hosoi
photographs : Keiko Ushiyama
マンションの2階にありながら、芝生とツツジが植栽されたテラスがある家。国内外のインテリアファブリックスを多数扱うメーカーにお務めのFさん。ファブリックのプロが自宅に選んだその素材とは? 今回はFさん邸を3回にわたってご紹介致します。
個性が光るプライベートルーム
F邸のもうひとつの大きな特徴は、パブリックとプライベートの完全分離です。玄関ホールの隣に扉を経てもうひとつのホールがあり、寝室などのプライベートスペースへはそこを通っていく形になっています。パブリックなトイレは玄関ホールに面し、プライベートなトイレとバスルームは、そのもうひとつのホールに接しています。ひとつの扉で完全にパブリックとプライベートを分けられる設計になっており、また、長い廊下で空間を繋ぐのではなく、この2つのホールが部屋と部屋を繋ぐ構造になっています。
暮らしを楽しむ仲のいいご夫妻のプライベート空間を今回は特別に見せていただきました。主寝室の他にそれぞれの部屋を持ち、各々の趣味を楽しんでいらっしゃるのがよく分かります。まず、最初にご主人の部屋から。磨かれた美しい革靴が木製キャビネットの上と引き出しの中にきっちりと並んでいます。長年手入れを重ねた革製品だけが持つ美しい光沢と味わいがそこにはあり、物を大切にするご主人のこだわりと愛情を見ることが出来ます。
そしてFさんのお部屋にはピアノと電子ピアノが並び、窓辺のデスク回りには書籍の他、普段身に付けている愛用のアクセサリーが、ショップのように楽しく並んでいます。味わいのある塗装のデスクは、実は二十数年前から持っていた普通のデスクをご主人が丁寧にサンダーをかけて塗装し直したリメイク品。ご主人の部屋の靴箱が入った棚も同じようにリメイクしたものだそうです。主寝室やプライベートホールなどにもご主人が手作りした帽子ラックやベルト掛け、スカーフ掛けが並んでいます。木と麻ひも、ハンガーパイプから取った針金を使ったシンプルな作りながら、そのセンスの良さに驚かされます。
主寝室にはご主人のお父様から送られた池田満寿夫画伯のリトグラフが飾られ、シッティングコーナーの横の棚には旅先で見つけた小物や想い出の小物が飾られています。
次回は『麻の魅力』をお送りします。
玄関ホールとプライベートホール
ご主人のプライベートルーム
Fさんのプライベートルーム
ご主人の手作りラック
主寝室