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Designer’s House / Designer’s Project
デザイナーの住まい・仕事 vol.13
収納はデザイン ー 使い勝手にこだわる家。 MK邸 第3回
IIDA Japan Chapterメンバーの住まいや手がけた物件を紹介するDesigner’s House/Designer’s Project。
今回は、徹底的にオリジナル収納にこだわった、収納デザインが魅力のMK邸をご紹介します。
text: Eriko Hosoi
photographs : Kawamura Photo Office
photographs : Keiko Ushiyama
cooperation:MACHIKO KOJIMA PRODUCE
築約38年のビルの3階にあるMK邸。収納デザインに定評のあるKさんのご自宅兼オフィスです。様々な収納テクニックと共に、ショールームの役割も果たす空間演出の工夫をご紹介します。
工夫いっぱいの和室と素材テクニック
増築で広くなった場所にお母様の寝室でもある和室があります。ここにも様々な工夫が施されています。入口は親子引込戸になっており、大きなものを出し入れする際便利です。押入れ収納の下をオープンにし、この部分に石を貼ることで床の間の代わりを果たせるようになっています。間接照明とアクセサリーで部屋をより豊かで広がりのある空間に見せています。TVボード兼小物収納のオリジナル家具は、横に長いデザインにすることで壁面を実際よりも幅広に見せています。天井の納まりもあえて梁下に合わせて手前の天井を低くし、二重天井にして間接照明や空調をビルトインして納めてあります。現在、この部屋には壁面の素材とデザインを揃えたオリジナルのベッドヘッドボードを設置し、お母様のベッドを置いています。押入れの中は収納量たっぷりのクローゼットになっており、また、仏壇も納められています。
MK邸の壁面にはさまざまな表情があります。白系のジョリパッド手塗りやVP塗装、外壁用のボーダータイルなど。また和室には薄いグレーの調湿効果のある珪藻土横刷毛引きの壁とフレキ版に加工してコンクリート打ち放し風に化粧した壁面を配し、モダンな仕上がりに。手塗りや刷毛引きを多用することで壁面に凹凸をつけ、照明があたった際、豊かな表情が生まれるよう工夫されています。
MK邸は、様々な収納、素材へのこだわり、デメリットをメリットへ変換するためのアイデアがそこかしこに詰まった、とてもスタイリッシュな空間でした。
和室入口
可動式の親子引込み戸 開け方次第で様々な表情が生まれる。
和室 収納 アクセサリー
洋服の他、仏壇も納められている。
左手の灯り障子は奥行きが取れない場所を有効活用してデザイン。
和風庭園の見える床暖設置の和室。
AV収納機能を設けたオリジナルボード。
老人用に配慮した鏡扉の付いたクローゼット。
和室 二重天井
天井カセットの空調機も埋め込み、間接照明を入れて大きな梁型を天井のデザインの一部となるよう工夫している。
薄いグレーの壁面は健康によい珪藻土横刷毛引き。
和風壁面
左手、フレキ版に加工してコンクリート打ち放し風に仕上げた和室の壁。
様々な壁面仕上げ
灯りの演出